私は占い師をしていますが、元々は占いやスピリチュアルが大嫌いでした。
というのも、祖母が新興宗教を妄信していたの間近で見ていたからです。祖母は宗教団体が勧める掛け軸や仏壇に何百万というお金を使っていました。非常に信心深く、毎日お祈りをしていた祖母ですが、晩年はアルツハイマーになり、最後には家族の顔も分からないまま亡くなりました。もし本当に神や仏がいるのであれば、こんな仕打ちはあまりに酷いじゃないか。宗教家や占い師など「スピリチュアルなものを仕事にしている人」に対して、ほとんど憎しみのような感情を抱くようになりました。そして、その感情は「宗教家や占い師を論破したい」というものに変わっていきました。
スピリチュアルなものを論破するためには、まずは敵の手の内を知る必要があると思い、神道・仏教・キリスト教、そして占いに関する本を読み漁りました。神や仏の存在をデータに基づいて反証をすることは難しいですが、占いについては反証が比較的容易であることに気付きました。そこから、あらゆる占いについての勉強と実証実験を進めていくことになります。
いくつかの占い手法については、「これはもう当たらないな」「デタラメだな」と思えたのですが、中にはどう考えても当たっているとしか考えられない、確率論的に異常なものが存在しました。そんなはずはない、と思いながらその占いを否定するため、さらに実証実験を繰り返すと、やはり当たっている。自分の占いが当たっていることにだんだん腹が立ってきて、また否定したいがために実験をして、を繰り返していくうちにドツボにどんどんハマっていく。そして、気がつけば自分自身があんなに憎んでいた占い師になっていました。ミイラ取りがミイラになるとはこのことです。1番の皮肉は、日本神話のカードを使っての占断が得意になっていたこと。なぜか神様の肯定にも繋がってしまいました。
今週は良い・来週は注意しなければならないなど「運気のバイオリズム」についても、最初は否定的な考えを持っていましたが、今では確実に存在すると思うようになりました。
多くの占いは天文学における星の動き、季節の移り変わりなど、先人たちが「自然科学を独自に解釈したもの」がベースになっています。例えば星の動きで言えば、1日24時間という周期は、地球の自転によってもたらされるものです。太陽の周りを回っている地球は、地球自身も1日1回転しています。地球の自転によって太陽が顔を出す昼と、地球の裏側に太陽が隠れる夜が現れてきます。地球が誕生してから46億年。地球上にバクテリアのような最初の原始生物が誕生してから38億年。最も古い人類の共通祖先「サヘラントロプス・チャデンシス」が誕生したのは700万年前。地球上の生物は、地球の自転がもたらす1日24時間の昼と夜のパターンの繰り返しに適応し、存在できたわけです。
1日の周期的変化は地球の自転と関係がありましたが、1ヶ月周期の変化は月と関係しています。月は地球の周りを27日と7.72時間で一回りしますが、「地球に対する重力」も周期に応じて変化します。
この影響を最も端的に受けているのが潮の干満でしょう。満月あるいは新月の頃には、月と太陽と地球が一直線上に並び、地球に及ぼす重力が強くなります。そのため潮の引きが大きい大潮になります。女性の月経もまさしくこの影響を受けているひとつです。統計的に新月や満月に生理が始まる女性は、通常よりも10%以上多いという論文が存在します。また、出産の日が満月または新月の前後に多いことも知られています。
面白いのは、「交通事故と月の関係」。過去10年間における全国の人身事故と月齢の関係を調査したものです。これによると、「事故が多いのは上弦や下弦の月の頃」だといいます。このころは、小潮の時期と重なっていて太陽と月の重力が小さくなっている時期に当たります。それではなぜ、この時期に多いのか。
血液の塩分濃度は海水とほぼ同じです。そのため、月の満ち欠けは潮の満ち干と同じように、人間の血のめぐりにも影響を与えると考えるのが自然です。満月や新月のときには月の重力が強いために全身の血行も良くなる。脳への血流も増えるため、注意力が増す。一方、上弦や下弦の時には月の重力が弱まり血行も悪くなりやすい。そのため脳への血流が普段より少なく、注意力が落ちやすいのではないでしょうか。 満月や新月の時に出血すると、その量が他の日よりも多く止まりにくいというデータもあります。
月は人間以外の生物にも様々な影響をもたらす。満月の日にはサンゴが産卵し、動物プランクトンが深く潜る。海鳥は岸辺に集まり、ライオンは狩りの回数が減る。サメは人を襲う回数が増える。月の動きだけでも明確に生物の動きに影響があるのですから、様々な惑星の動き、季節の移り変わりを考慮した占い、「運気のバイオリズム」もあってもおかしくはないと思っています。
コンサル業として経営者の方を占わせていただくこともありますが、彼らが私の占いの中で重宝してくださっている1つが「運勢カレンダー」だそうです。このファンクラブでもプレミアム会員の方へ提供しているものになります。成功している経営者様は占いを「予言」として捉えるのではなく、視野を広げるためのツールとして上手く「利用」されているように思います。占いは、自分の意識の外側にある情報をキャッチアップするための手段だそうです。良い運気と記されている日も、悪い運気と記されている日も、いずれにしろ運気が記されているのであれば、半ば強制的に自分の行動や考えをもう一度振り返ることになる。そうすれば新しい発見があったり、転ばぬ先の杖になったりするとのこと。私自身、自分を占って作ったカレンダーを行動指標にしていますし、その話を聞いて確かになと思いました。お客様からのお話で、占いについての理解が深まることが多いです。
皆様もぜひ占いを「妄信」するのではなく、視野を広げるツール、自分を振り返るテクニックとして上手に「利用」してください。