サブスクリプションモデル(月額課金制)でファンクラブが作れるFANCLOVE。FANCLOVEは、どんな経緯で作られたのでしょうか? サブスクリプションモデルとは、どんなものなのでしょうか? FANCLOVEの秋山慎治プロデューサーに話を聞きます。インタビュー前編では、秋山がFANCLOVEを作ることになったきっかけなど、サブスクリプションモデルとFANCLOVEへの思いを掘り下げます。

 

みんなが使えるサブスクリプションモデルを作りたい

 

秋山慎治

FANCLOVE プロデューサー
秋山慎治

 

なぜFANCLOVEを作ろうと思ったのですか?

 

現在、インターネットの世界は、徐々に月額課金制のサービスへ移行しています。サブスクリプションモデルをインターネットの会社だけではなく、簡単に導入できるようになると、様々なことが変化すると思いました。「その変化のきっかけになることをやってみたい」と思ったのです。サブスクリプションモデルを、色んな方々が簡単に作れるサービスをやることを決意しました。

 

Flipsというホームページ作成ツールの運営もしています。そこで中小規模の事業者さまのビジネスを勉強させてもらっていて、そういう方々の力になりたいという思いもあります。

 

サブスクリプションモデルという言葉は、世間一般的にはまだあまり浸透していないように感じます。

 

サブスクリプションモデルは、「月額会費制でまとまったサービスを提供する、月額でずっと払い続けてサービスを使う」というビジネスの形態です。その都度、商品を購入するものではありません。

 

Adobeさんの「Creative Cloud」がわかりやすい例なのですが、Adobeさんは今まで10万円出してパッケージの商品を売っていました。それを今は、月々5000円ほどの料金を払うと、10万円で売られていたいくつもの商品が使い放題になるという形に大胆に切り替えたのです。それがうまくいっている。MicrosoftさんやGoogleさんもそうですが、サブスクリプションモデルに世界中のビジネスが移行しています。でも、大企業は自分たちでシステムを作れるからよいのですが、中小企業がそのようなシステムを作ることは難しいはずですよね。そのため、このシステムを作る役割を、FANCLOVEが担いたいと考えました。

 

楽天さんなど、自分の手でECサイトを作ることが出来るサービスが、2000年以前からあります。今はBASEさんやStores.jpさんなど、「いかに簡単にみんながECサイトを作ることが出来るか」という風潮に変化しています。同じように、サブスクリプションモデルという事業も、みんないろんな使い方をしていくんじゃないかと思い始めたことが、FANCLOVEを作ったきっかけでもあります。

 

今までの話を踏まえると、FANCLOVEを使って欲しいのは、中小企業の皆さんなどになってくるのでしょうか。

 

最初はそう考えていました。Flipsと一緒で、中小規模の事業者の方々に使っていただきたいと思っていましたね。

 

クーポン冊子というものがあります。その冊子についているクーポンを使うと、新規のお客さんは値引きされる特典が受けられるんですよ。例えば、冊子に掲載されている美容室に何千円引きなどの特典を受けられるクーポンを持って、新規のお客さんが施術されにいきますよね。そうすると、そのお客さんは、また他のお店に新規のお客さんとして、流れてしまうという懸念があるのです。お店としては、「新規のお客さんを集客するために払い続けている」という感じになってしまっている。それは健全とはいえない状態だと思うのです。大事なお客さんとしっかりと繋がり、大事なお客さんには、自分たちのサービスを使ってもらい、その分サービスを提供する形で成り立たせたい。そのほうが、みんながハッピーになれると思うのです。

 

長く使ってもらう関係を築きあげることが重要なのですね。

 

「お客さんと事業者との関係を、しっかり繋いでいく」ということです。焼畑式のビジネスではなく、大事なお客さんと繋がり続けられるものを提供したいです。

 

FANCLOVEで大事なヒトやモノ、コトをつなげる

 

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どんな方々に、どんな方法でFANCLOVEを使ってもらいたいですか?

 

「サブスクリプションモデルを導入できます!」といわれても、全然ピンとこないじゃないですか? ファンクラブという形にして、お店を好きなファンが関係を作っていく。濃い関係を築けるサービスを検討していく中で、FANCLOVEが形になっていきました。そうすると、一気に対象となる人が広がりました。事業者の皆さんだけではなく、ヒトも応援したい。何かプロジェクトも応援したい。モノや施設、建物など、自分が応援したいモノのファンクラブに入り、しっかり関係を繋げることができるサービスになるといいなと思っています。

 

FANCLOVEは月額会費制なので、活動資金に割り当てることもできますし、建物であれば修繕費などに割り当てることも可能です。ビジネスであれば、安定した収益として見込めることも出来ます。どんな方に使ってもらいたいかというと、やはりいろんなジャンルの方々に使ってもらいたいですね。あまり色を設けず、様々な使い方が出来るように、システムを構築しています。まだスタートしたばかりなので、「月額会費制のファンクラブを作る」ということで、いろいろと試行錯誤して使っていただきたいなと思います。

 

Flipsもそうですが、地方や中小の活動をエンパワーしたいです。皆さんを力づけることをやっていきたいと考えています。だからこそ、FANCLOVEを通して本当に好きな人たち同志が繋がってほしいです。

 

地域を盛り上げることについて、具体的なイメージがあれば教えてください。

 

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例えば、私は地元が愛媛県の今治市なのですが、そこには今治城があります。今、今治に住んでいる人も、そこで育って今は別の場所に住んでいるという人も、みんなでファンクラブという形で今治市の象徴である今治城を支えていく。そんなことがあちこちで起こってほしいんです。

 

しまなみ海道という、今治と尾道の間に橋があります。田舎に帰ると、その橋を自転車で渡ったりするのですが、片道70kmほどなんですね。今治から自転車で行って、尾道でラーメンを食べて……。バスで帰ってしまうこともあるのですが(笑)。以前は、橋が有料だったのです。今は企業がスポンサーになり、無料で通行できるようになっています。そういった企業の出資とあわせて、個人レベルでこのしまなみ海道を財政的にも支えていくことができたら、素敵じゃないですか?「自分たちがこの道を維持している」という意識が強まりますよね。そういうことが実現すれば、自分自身もファンとして、しまなみ海道がさらに好きになれると思うのです。思いが繋がるような使い方をどんどんしていただきたいです。

 

サブスクリプションモデルについてはもうカンペキですか?

インタビュー後半では、FANCLOVEがもっと好きになれる話を聞きます。